わたくしのなかの一本の釘が鳴る

組み附した腕 透明な化石の傷 ほころびの中にだけ咲く 微小な花が 呼吸のなかに埃として含まれた 咳き込んだ声 擦れた声 きみはもうずっと疲れ切った 魂の凍えきった蓋のような人々を愛す そこは生々しい肉の慟哭があふれる坩堝 最も汚れたものは 最もうつく…

壮絶な旅

壮絶な旅 長野で3、4日暮す 雪原で音楽し踊る三人で 胆力ある音楽家、映像、絵描く友人と 家から離れてしまうから壁がなく忘れなければ生きていけない詩人で妖怪で小熊な女の子と 二人旅 彼女は道で寝るから宿に泊まらない 全泊野宿 城端 ふと合掌造りが見た…

ド こ

ド こ に イルノ カ しら ああ コトバが 走って いきたがっているのに 這い ずる 肉の坂 を ズリズリ と 閉鎖される 干涸 び 白んだ 池の 絵に 定着された ハチ 僕の 空白は 今こそ大き い 巨木となった 中空を飛ぶ舟 飛行船は ゆっくりと (雨) 窪んだ 質…

真空の瞳、その視野

いったいなんなんだろう あの精神性 ずっとそらをとびつづけるひとの眼 腰かけるべき地面がはたしてあるのだろうか でもだれでもあたりまえのことをもっていて 普通なことを持っているはずだが見当たらない 滑走路 助走のひつようのない とびつづける視線の…

きょう

足下を舞台にして立つことは それだけで一つの際であり段差であるが それだけではそこに寄り掛かってしまうというのが 前回の舞台 今回は もうひとつの段差もしくは断崖を越えるときの 際の存在を きわめて個人的な物語の必然性−未分化な表現の転位 ではない…

パフォーマンス詳細

杉原信幸 パフォーマンス「体内記憶」 行為の足下 断崖の足どりで 肉体に流れる景色 東京芸術大学卒業制作展にて 2005年2月25日(金)16:00から

四角い白い角

四角の角の部分 白いとがった端っこに立つことは そこに行こうとすることではない そのイメージを喚起する 流れの穂先き 滑走路たる 日常 = 物語 から迷いこんでしまった 整地、聖地 混線した意識 イメージ(精神として)と行為(肉体として)の交差地点 そ…

慈しみ

哀しみを含んだ優しさ 憐れみは一番美しい感情なのではないでしょうか 表情が顔に宿るというのは その表情にながれる感情をもっとも多く感じてきたということなのだろうか 憐れみ あわれむ気持ち。同情。慈悲。 慈悲 (1)〔仏〕 仏・菩薩の衆生(しゆじよう)を…

都美術館で展覧会を行います

卒業制作の展覧会を都美術館で行います くそったれの都美術館の空間を変容させ くそったれな芸大に くそったれな自分に なにかを伝えたいと思います パフォーマンスも行われたいです 25日(金)16:00からと予定されます 詳細は近くなったら 写真は内覧会パ…

ちきゅう

なにもかもが目をまわしたように見えるのはなぜだろう 何もないぼくは 目が眩むほどの裸足 憎しみをもって前に進むしかないのだろうか レース模様のような赤色紙の切り絵 破綻がじりじりと歩み寄ってくるときの ミミズの畑には生きた土が蝕む 断崖の空気圧に…

江古田のカフェで初ライブする

友人のタミオーさんと音楽している 13日に初ライブをします 呼吸、心拍、体内、身体の音 身体の拡張による 場の身体化をイメージします でもそれは場の話です 音楽は実験的でなにが起こるかわかりません 即興ってやつです ベースとか声とかパーカッションと…

日常

空と通じているって 外に 出て外気にふれる あくびをするような要領で 煎じた糸をさがす そんなものはない あるのは 僕だけ どこまでも追いかけ続けてくるのは 僕だけ そしてどこまで逃げても 最後には自分自身に会って涙をながす (それはもちろん純粋な意味…

パフォーマンスについて

archaicさんの言葉をうけて 胎児と羊水のイメージというのは 僕にとってはまったく頭になかったんだけど ああそうなのかもしれないと思わせるイメージでした 今回は「巣」というタイトルをつけていたけど それは複数の作品を卒業制作一点にまとめる為の方便…

スイッチ

電気を消したらどうなるだろう 絶滅した鳥類が 山のてっぺんで考えていた 白い霧があたりを被う ここは氷河の上の風下だったんじゃなかったっけ 目をまるくして 食道に記憶をつめこんでいる においの切れ端がふいと鼻をつかんで ディナーのことを思い出させ…

Have we met? ―見知らぬ君へ

展覧会見まくってる先端生の友達のホームページを見て 赤坂の国際交流基金フォーラムでやってる『Have we met?』を 見に行った たぶん岡本太郎大賞とった 小林洋子のアクリルボックスの正方形の塔からただゆっくりと正方形の紙が落ちていく 作品と名和晃平の…

透明って青いんですね

かっぱ 霧の小声で話しかける君の 目玉の開閉速度に つかえた小骨が反応して とうと血をたれた 蚊の口針のちゅうと吸う 血痰のかすれた声で 君を求む 鳥が羽ばたくと同時に 灰白の糞が命中した頭骨に べったりとしたたる 甘い蜜が瞼をゆっくりと閉ざしていく …

「触れるかたち」

「大地に乳房が、 触れ先をつたうもの、 巣へ、 手は重いのか、 かるいのか、 透失した小箱の、 中身に夢が熟れて、 君も、 彼も、 手も飲んで、 ぶらさがった夢洞が、 頭のうえに昇って、 きみの夢にも昇る 影像(かげ)は地表から立ちあがる、 森はしずか…

Project the Projectors

灰色のイスの幽霊が 光の柱 のような部屋 の中 絵が闇に浮かんでた グレーの存在のうすさ の ひとつすごい作品があった あのクオリティはもうそのまま国際展にあってもいい みごとなハマリかただった 明日までです 「Project the Projectors 04-05 台東」 東…

雨のないコーヒー

小鳥のほおずり 小鳥の球をほおり投げる ほのおのように震える球が 宙を飛ぶ 銭湯には 鳥の鳴き声が 熱帯植物園のビニールハウスのなかのように その朝の呼び声のような 放送が響き渡る まっすぐのびた塀が 雨のないコーヒー 雨のないコーヒー 轟音がしまわ…

卒業制作の展示お知らせ

卒業制作の展示があります 美術学部絵画棟708アトリエで展示してます パフォーマンスもやる予定です 見に来てください 【卒業制作内覧会】 (上野校地) 日時 2005年1月27日(木)28日(金) 時間 10:00-16:30 場所 東京芸術大学上野校地(台東区上野公園12-…

「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」

言葉が深くのみをふるうのではなく、 言葉という落ち葉のうえを歩いていった時、 通った後にできる水面の 足をひたした色、もしくは味のような 透き通ったかんじ、 頭の中に浮かぶ 静かな膜のようなものの やわらかな揺れかた を感じさせる またはそのけして…

硝子塔

くわい くわあい クスノキに登る 透夢をなでる手で かんな屑にもぐる 目頭が熱くなってきたぞ わっぱりの夜に 崩れ落ちる緋塔 クチビルの切れ端に舌がひっかかって 昼が過ぎた 硝子塔は うす緑に風景を切り 空も封刻される 小鳥が一羽だけ 硝子塔のなかに 肛…

ほこりを針で拾うような

ほこりを針で拾うような気持で ぜんぶ押し入れにつっこんで 布団で丸め込んで 底流をなす くるぶしのような きっかけにふれて 眼が尖ってる コートに時間をつつみこんだまま 熱を分ける ほころび おそらく着地点、現実的接触面、地面としての 四角平面にたど…

ヴィタール

世界がまあるく潰れてく 「脳と仮想」→エラン・ヴィタール(躍動)→「ヴィタール」→Bankartの回廊→内臓のデッサン→沖縄→匂い うすぐもりの春 風がかたんと鳴った やもりの寝床にはひそりと侵入した影が やまびこの小僧をつかまえて 蛭の言づてを吐かそうと …

闇のながめ

いや別にいいよ いいんだよ だけどなんだろうこれは哀しいとかそういう言葉ではない 密林の緑のなかにはだれもいない 雨はさっと降ってやむ ん? 言葉の化石だ かたちにならない言葉が 透明なまま埋もれていく 耳をふさぐぐらいの叫び声が その場を覆っても …

潔癖

正直言って、死にたい、と 死にたくないの間に 引き裂かれながら 生きてくんじゃないの たとえば、目的をもつのがかっこわるい、と 目的をもたないのがかっこわるい、とかね 折り紙をするんだ きちんと畳んで どんどんと小さく折っていく 折り目をつけてピー…

月のツリ針

無限に澄んだ空 冬の透気の色に 死とは空の粒子になることならば 死とは空に帰ることならば この美しく澄んだ空の親密さと同じように 死もまた親密だ その時、暮れた青空に 一条の針のような月 僕の心臓はくっとツリあげられてしまった 睫毛みたいな月の針先…

洗氷

僕は氷を洗いつづける とても大きな氷塊だ 金ダライにざぶんと浮かんだ城 なめらかに光る肌を 濡らしながら てのひらで磨く 氷は溶けるどころか どんどんと大きくなっていくようだ 冷気は金ダライをうって 水氷のゆれる波となって てのひらに浸透する アイス…

孤島を打つ波頭 、薄青毛の白夢に

「孤島を打つ波頭」 孤島を打つ 波頭 きききいー すぐさまにも モミガラを洗って 洗って はぁー、白米が山となる 呻く跳ねる小粒が 水に泳ぐ 種モミは底に沈む とぎ汁はひひひとゆわんで 波頭が 青穂を撫でる風が ナツの終わりを残していった 濁流を受ける …

懐かしきザルツカンマーグート、ハルシュタット

懐かしき、 ザルツカンマーグート、 ハルシュタット ゴーザウ湖 ダッハシュタイン連峰 僕はヨーロッパ二ヶ月ぐらい旅行したとき ユースホステルガイドブックに載っていた 世界遺産のハルシュタットの湖の写真を一目見たときから そこに行きたいと思って 実際…