2004-01-01から1年間の記事一覧

引力

「引力」 私の居場所にはたを織る 波打ち際に打ち寄せる波に揺られる意識 泡ぶくが寄る辺ないまどろみの陽だまりに 暖められていく いくつもの手癖が降り積もる 砂時計の真新しい砂の角の斜光と古い砂の退色 色褪せた糸 真新しいより糸の鮮 白い染料で染めら…

ドイツの一番美しい本展

江戸川橋駅近くの神田川沿いに 印刷博物館というのがあってドイツの一番美しい本展がやっていて 無料で見れる一階スペースなんだけど そこに展示されてる蛾の写真集の薄蒼色の蛾と薄翠色の蛾の色が すごくとっても好きです 性病と皮膚病についての学術書も欲…

メモ

手を添えて考えてみよう 思い出の小箱のなかのかわいた音 てざわりに擦り切れた木箱のぬくもり 端書きの紙切れの文字が生き生きと 語り出す 夜街灯の傘の下 降り立つ光の輪ッかのほわんとした 黄色の中に きききと回るコンパスのくきっとした影 突き立てた針…

宇宙樹のたもとで

ヒラ 木の カナシミの シミ くだらない 木屑の泡が 香り やわらかな おが屑の 微かに湿った 永遠の温床 昼寝のあとの 木漏れ網目の日かりを やさしくかけて どこにも のぼらない夕暮れの 溶けた太陽の まっかな濡れ眼を見つめて 隠された夕影の草場に落とし…

中嶋莞爾の『はがね』と 『箱-TheBOX-』

中嶋莞爾の『はがね』と 『箱-TheBOX-』を見に行く ぴあフィルムフェスティバルで大賞とった人で 音楽と映像が焼き付いていたので見に行った はがね は鳥肌的に美しかった 緊密で詩的な絵画的に完成された映像 ローアングルが多く 小津もローアングルだと思…

落ち葉(は)段々舞台の日かり音

鎌倉の 妙法寺には 枯れ葉の雨 を見るための 階段舞台があって 山門のあいだ から見える 落ち葉のつもった橙こがねの上層と 側面石の苔緑のぬれ 段々が きらきらとしていて 入らずの石段舞台に つもった落ちはの しん とした 苔石段の あけた 木々の高天井か…

地面

地面の問題だという 街灯光の宵明かりを受ける枯葉 夜そらに生える木々の梢がかかえる地面 その影をそっと運ぶように では地面がなくなってしまったものは 亀裂 途絶え ひとつの地面が消えた どんどんと暗闇に地面が消える ぼくはその地面の残り香のようなも…

呼ぶ

静かに赤い口紅を塗って 井戸の底の月光膜のぬらりと光るのを見 微風の遠い細草を運ぶ音を聞く 握った枯れ草のはらはらと舞い落ちる無音 夜は水面の上を走る星明かりが 田畑を抜ける宵の風に追いこされ 掻き揺れる 融けた星明かりはあまい瞳に拾われて 夢を…

半不透明、屈曲体

茜の血のように赤い 光りと陰の屈曲が 瞳の表膜に吸いついて 踊る 光りの屈折器たる 華 の 朝日を曲げて 光と陰に織り上げて 朱 やら 照り やら 血のように赤い茜空をぱっくり飲みこんだ蕾みやら 朝日の幻灯器が濡らす 光(ひっかり)の あわい点 掴むと粉雪…

緋水晶

影絵のほのおのように 燃える花 焦げた花蕾みの 先っちょ嘴 影にもぐった緋水晶の川蝉の群れが ぱたぱたと蝶の舌をだして 水面に落ちていく 蛇腹のくびれた緑線を描いて

紅い華

蝦蛄葉サボテンの紅い華が 赤い舌をだして ちちちと鳴いて 蕾みにもどってみたり 花をひらいたりして 飛び立つ水鳥の群れの 一瞬の花火を 描きとめたように いきいきと止まっている 花の蜜を吸う鳥の舌を吸う蝶 目をくるりと掴む蕾を やさしく撫でていく視曲…

巨船

なんだか ああ人に おびえてしまう 真新しいテクノロジックな巨大構造物の 殺菌的な弾圧力に踏み砕かれてぺしゃんこになってしまったような 人の多さとそれに合わせて広がる構造物の空間規模に 否応なく人の卑小さを捺印させられる だからそこではひとは群れ…

ホットミルクの湯気と熱と薄膜

僕は長野県とか好きです 松本とか好きです 雪とか好きです 白樺とか 澄んだ空気の森とか なんだか好きです なんでだろう あたたかい布団と 自分であたためた布団といっしょに あたたかくねむっていると すこし元気になります あたたかさを返してくれるから …

おいおい 空が青すぎるぞ こんな日はどこへ行こうか

ひとりで展示見る

11/27 草間彌生、近代美術館の展示見る 草間さんはすごいよ 海外の美術館の常設でみかける日本の作家の作品でおもしろいと思うのは草間彌生ぐらいな気がしていたが この展示はすごい クサマトリクスよりいい やはり近作は力がないけれど あのパワーからはな…

どうしようもなくなったらトンカチを食べろ

ほおり投げあげられた桃の実の 落ちくだけた甘い 産毛の薄皮がめくれた 果肉の香る芳潤な やわかな肢体 柔らかなしとね香る ひずみ どうしようもない夢のむこうに ほんわりと浮かぶ ほのうのゆらめき に映る やわらかな像を 舐める 青いような緑のようなもの…

瞼のなかの眼球の脈動をきく

ころあい似て 目をくりっとして わにの背を歩るく 動物園の まったく動かない巨大なわにの 背袋のなかの 堅い 肉 を踏みしめる 靴は 裸足でつかむ 殻のように分厚く積もった表皮の感触を 想い 強大な夢と 静かな食欲がもたらす凶暴な瞳の じろりと動くのを感…

灰野敬二と吉増剛造 _降る、振る、震え...

早稲田の銀杏並木の合間から見える おぼろの満月は ぼ やっと うつしていました 今日の吉増さんの講議は遅れていったので ちゃんと聞けなかったけど 灰野敬二と吉増剛造 _降る、振る、震え... はすごかった まだ体調が回復しきってなかったけど 眼球を支…

日記ってこんなかんじ

見てしまった映像は どこへも行かずに記憶の暗闇にのまれて消えていく そいつがいったいなんだったのか 自分にとって 他人にとってどんな意味があったのか 確認するために頭から引き剥がして 物質にしてやらなくちゃならないんじゃないか たとえば 左の靴の…

白いぬくもりの夢

眠るのはきもちいい 押し入れの中の暗がりで 巣穴みたいにひかれた布団 鍋で煮立てた牛乳を 温めた厚い陶器のカップになみなみいれて 寒い朝の湯気をたてている白い液体をすすりながら あたたかいカップを握っている手 みたいに眠る 薄くはった被膜のように…

ほとりの朝

ほとりに立つひつようがある 水辺のひんやりと薄い 見えない霧 水辺の纏う 冷えた頬の 粉雪のように白い潤おう肌 うっすらと水面が手をのばした 透明な湿気と 池を囲む森の 深いねむりについた静かな呼吸が 手を合わすちょうど その場所に立って 生まれては…

風邪をなおすためにねむる前

あたたかい あたたかい 子どもの頃のひかりが シリシリと鳴る風の音にのって 流れ込んでくる 真昼 80年代の日差しは 黄やけしたアルバム写真を満たしている うすぼけた日溜まり 壁の黄色い照り返しが 眩しいようでいて 柔らかくなってしまった 記憶 記憶が古…

声の中

撫でた手で 撫でた手で 雨の日に 雨の日に 傘になる 傘になる 響き 響き 公園の中に眠る 公園の中に眠る 眠る うぶな そに なるとね を 遊ぶ日には 戸惑うように 鳴る 鳴る 風のなひ ひとりで 笑う 笑う とね とね こが昼寝を して いた 抱き に手 をついた …

存在の灯りを描く行為

ねえ 僕は そこにある 緑の茎のもっている光 内淡く光る緑の色を どうしようもなく美しいと思い それとつながってしまう それは透き通った色で 瞳の中が それとも僕自身の中が すっぽりとそのなかに 捕われてしまったように しなやかな新鮮な色をしている そ…

Kowara

Hosoiude Kokyu_ Nadarakana Kawano nagareno Asimoto Kowara Ho Ho ni Hukumu Tenohira Hitomino Ana Kutino Ana On Hureta 早稲田に吉増剛造の講議を聞きに行く うつくしい講議だ 毎週聞きにいこう 来週は灰野敬二とのパフォーマンスらしきものもあるのです…

あけびの紫青

あけびを食べる 種ばっかだ あけびの皮を味噌炒めにする なすの食感のにがうり味ですごくまずい 調理が下手なのか いっしょに炒めたハヤトウリはうまい タケノコとなにかの中間の味がする

夜の体 真っくらやみは親密で

ホシがなにかを求めてる ホシがなみだを数えてる 夜に鳴く木声で 夜の木々はいっせいに話を始める うろの中ではその声を聞くこともできる ホシがこぼしているものを こころの中に見る それを拾いあつめる 夜には夢がうたいだす 夜空の真っ暗闇のキャンバスに…

冬闇

冬ですね 夜の訪れが早いですよ さむいし 温かい焚き火の 照る火の赤が肌をさすほど そういえば 緑の春みたいなやさしいものが 僕のなかに流れ込んでくるなんて ほんとひさしぶりだったんです ずっと足りなかったもので ずっともとめていたものなんだ だから…

アントニ− ゴームリー展おすすめ

アントニ− ゴームリー展を六本木に 見に行く 蓮沼君に勧められて行ったんだけど すばらしかった 出会いの驚きと そこを離れたくないと思わされるちから ずっとそこに居たかった どこかとつながる場所を探していたけど つながることができた アントニ− ゴーム…

菊の内臓

菊の花 人の花 白子のような 菊の内臓 ほのかな ほほえみのような光で わらう 木の葉の粒を透かして とどく ひかりの緑 石粒の道の真ん中に 腰をおろして 人波を わける川石のような 流れの膜 アスファルトと コンクリートに 塞がれた町 皮膚呼吸のできない …