ちきゅう

























なにもかもが目をまわしたように見えるのはなぜだろう

 何もないぼくは

目が眩むほどの裸足

 憎しみをもって前に進むしかないのだろうか

レース模様のような赤色紙の切り絵

 破綻がじりじりと歩み寄ってくるときの

ミミズの畑には生きた土が蝕む

 断崖の空気圧に精神が抵触する

へっへっへっへっ

 うれしいよきみに会えて

僕の心臓の切断面

 みんな体は枯れ果てた木々だ

汚れたつらで夜を噛む

 舌をだした貝の眼を想像したまえ
























頭蓋骨開けて脳味噌を手でぐちゃぐちゃしてる
その管のぶよぶよとした襞には
記憶の造作がよたっとして
引きずり出された甘味を
ぺろりと舐める















「海雲」

吐き気がうわずっている
白黒の象の肌のような海

つゆほども儚い時
きんののどでつぶやく
寝覚めの朝
うつむくりんごの影に
隠した花かざりの
湿った印象が
池藻の中に沈んだ
夢想のように
空を映して震えていた
喜びもどこかへ行って
戻ってこなくなった
首輪付きの足あと
呼べば声は聞こえても
失われた味噌汁の具ほどにも
味気なく澄んだ
曇り
きみを映す窓ガラスには
虚像のみが鋭利に染み付いて
肉体は夢遊する硬直のなか
ほんのひとにぎりの光のように
漂っているのを感じるだけ
透過した肉体
遠泳する虚像が
海をくぐってたどりついた
砂浜に君はいた
ただ一つの砂つぶの中ほどに立って