雨のないコーヒー































小鳥のほおずり

小鳥の球をほおり投げる

ほのおのように震える球が

宙を飛ぶ




銭湯には

鳥の鳴き声が

熱帯植物園のビニールハウスのなかのように

その朝の呼び声のような

放送が響き渡る



まっすぐのびた塀が









雨のないコーヒー

雨のないコーヒー

轟音がしまわれた箱




トタンのペンキのひび割れが

トタンのペンキのひび割れが

掘削機の回転式ドリルの刃が

地面の奥底の眠った砂を

引き起こして

つかんだのは髪

手のひらにのせたのはビー玉

真っ赤なビー玉は

くすぐられたように

ころがり

おちた

とーん と床に

そして

山は

谷底に消えていった

緑の渓谷の夢になった

雨粒色のなみだは

脳内の呼吸に消費された

それは眼