2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

内藤礼さんの講議

東京芸大の美術解剖学のゲストでいらっしゃった 内藤礼さんの講議は生まれてこのかた最も感動した講議でした うつくしいもののちからをしんじている と力強く語る 生の芯から生まれてくる言葉は ぼくのこころに届きました うれしくてうれしくて胸いっぱいで…

再生事故、時のフリスビー

風の匂いなんて知らなかった燃えうつった蝶の翅に消えていった愛や死や満ち潮その煙るように消えたいくつもの鉱石の影が真っ裸で燃える真昼の路上に立たされている量り売りされる身体吊り下げられた緩慢な肉ぶら下がった岩場の火の消えた闇で燻りつづける絶…

今日 、 白部屋位相

行き止まったら 歩きます 凍った踵は辛いですが 歩きます そしたら何かが流れ出て 何かが入ってきます行き詰まったら むちゃくちゃします そしたら なんかわかります文章は 吐き出すことです 思考もひとつの回転です 2003年12月賞味期限切れのキャベツが茶色…

無顔の微笑み

ぼくは恐ろしい悲しみと接続される 無というペンキで塗り潰された顔 記憶がひとつひとつ消えていく その穴のあいた意識 失われた記憶ののぞき穴から見える 恐ろしい痛み 裸電球で照らされる 残虐さに弄ばれる肢体 裸の痛みが ぼくの脳細胞を照らす その虚無…

メモ書き

とりあえず すべて に まず人を一人殺して 二人殺して 三人殺して 言葉 まず僕を猛スピードで走り抜ける 夜の黒いスポーツカーではなく 普通の制限速度内で走る乗用車の前に投げ出してみる そして骨とか皮とか血とか肉とか内臓とかがバラバラの部品になって…

人魚

記憶をトオクヘ巻き戻してく 不思議な輪っかにツイタ 幼稚園ごろの輪ゴム遊びの記憶 そのハガレオチタ一片の桜の花びらのような欠片が ようやく手を差し伸べられた昼寝混じりの陽射しに 指し示されて 影の包んだ夜風が撫でる草原のカーブと 平らの上に溢れか…

注射器の情事

注射針 逡巡する血管 わかりきったほど透明な独房 泥のような血液にセックスが盛り込まれる 透き通った注射器の液状部屋で 照明に照らされた幾晩ものセックスが演じられる 突き立った腕に走る血流に混じって 掃き出される 硝子のような欲望の破片 星を貫く悲…

ハル

太陽が衣服に編みついている もしくわ身体に 匂いたつように漂っている 木漏れ日の編み目モヨウのような 行為の全体が太陽に溺れているような 春のこもれ日を追いかけるような落ち葉 澄みきった新しい色で撫でつけられた木粉のような 風が塗ったミドリ 春ノ…

次元震−涙を模した身体

星が揺りかごをゆらす 遠き星の弦(ツル)がまっすぐに延びて 引く手はゆるやかに落下する太陽の涙 感情は張りつめた弦の金属のきしみ 壁面を滑る雨のはじまり 崩れた壁の垂れ流す汗が雨になって 夜と街灯の交差 中には涙より深い死の種子が埋まり 高貴な弱…

氷樹ノ森山

その日、山には巨大な氷が落下した 木々の合間に突き刺さった幾つもの氷塊が オーロラの薄衣をひょいっと濡れた風にあわせて纏っているような ひかりの揺らめき 千年の井戸底の水脈を汲みとった 亡霊の着衣のような凍えた光を放って そこに突き立っていた わ…

乾いた薄布地−聴診器の眠り

愛って玉が転がりおちた 水球のような濡れた硝子球のなか 真っ赤な金魚の尾ひれのような緋色があって 血の混じるような生の転がりをかんじる 這う舌のたどる濡れた道 一方にぎあう歓楽街の明かりを避けるように 蚊取り線香の逃げていく煙は曲がりくねり 僕は…

因果応報

わたくしがしたいと思うことはどうやら酷いことばかりなのです 酷いほうへ酷いほうへ危険なほうへ危険なほうへと流れていってしまうのです その結果その酷さは痛みの毒のようなかたちで自分へと帰ってくるのです それが贖いというか浄化のようなものとして帰…

皇居のお堀にとびこんだら警察署に呼ばれた

ああ皆さんどこかに飛び込む時は靴を履きましょう あと皇居は重要施設なので侵入すると深夜4時くらいに麹町署に出頭させられて 誓約書をかかされます それから皇居のお堀は以外と浅いので靴を履いて飛び下りましょう そして迅速に警官に発見されずに逃げまし…

緑の雫の足下の天頂の薮の陽射しの細い糸柱の黒い森の鏡のなかで

ピィーッ きみという平地に カンシャク玉を投げつける なぜなら 雨は全部きみがすきだから 春ノ薄皮ハ まだすらりと剥けない 昼の包みだから 酔っぱらって石畳の路地で 昼の月を見てうたう 手のひらの小石に きみの夕影が結ぶシーソーに ひとりブランコが鳴…

目が射る

こぼれそうな記憶の底石の平らな裏側にはりついたカワゲラのような 小さな幼生記憶が 水すましをかけめぐった つまようじの先が掻いた波紋と ぽつぽつと落ちた雨の両方が刺した鉄の針 その同心円の水表につきたてられた糸柱によって 空は渇きを癒す たちのぼ…

ショウジョウバエの呟き

いいんだよ死んだ時からわかってたんだ 蒸留水の天秤にのせた君の縁取りには 野蛮な鍋がとりつけられてて 空のかまちには足跡だけがついてたって 香水のにおいは半裸纏った君の油で磨きこまれた受粉した蕊の肌 幼児の手心で娼婦の布団に抱き込まれた花火は …

ゴッホ「オーヴェ−ルの教会」について

ゴッホの教会の絵は恐ろしい絵だ。 パリのオルセー美術館の明るい展示室の中、多くの鑑賞者たちに囲まれ、その絵と出会ったときのひときわ 重く強い存在感に圧倒された。 それはまるで夜が燃えているようだった。 道に落ちる日差しは昼の暖かな日差しなのに…

こんなものはよむな

絶望的な話 カピバラには鼻がないらしい 桑畑の鶏小屋には耳のないニワトリがいて 誕生石には蠅が混入されていて ゲロを吐くぐらいしかできないこの足のもつれた疲弊感 皆既日食のような影の焼けた感じが僕の大切なものを磨耗させていく 本当に大切なものが…

水斑の亡者

死が水苔のように岩の隙間に成長していく その暗やみの侵食する音 それともそれを見据える眼 猫の眼球をカミソリで水平に切りとったような視線 底溜まりの揺らめく蠱惑色 甲虫の零す銀鉛舞う水斑の照返し ごくりと飲み干す腐った水の艶 そこに身体を横たわら…

写真のせる

降りそそぐわたくしの時間の糸のようなものが氷っていました 振りかざされた手のひらのように柔らかい わたくしは眼のようにあなたを襲う 夜が紅茶をこぼす わたくしは花のようにいくつもの手のひらをのせて

黒いピラミッド

わたくしの中には黒いピラミッドが3つ浮かび上がっている まだ暗い古絹の灰色のような忘朝 もしくは晩鐘の響きのように鈍い闇 陽射しが滑るように走り去っていった 後ろ姿に心が凍るような夕闇に 停止されたピラミッドは すき絹で闇を掬いとるように 暗い水…

耳に響くあなたの融けた残響

わたくしの耳にはあなたが 暮れていく赤のなか 歩いていくその足音 影 踏み抜いた小枝を 刺し貫いていく針と糸 その白い軌跡が 耳掻き棒の影になって なめらかな塵を吸い寄せていく 甘い闇に耳穴が融けて小宇宙になった 引力が塵芥を引きずる水平砂時計に わ…

夢表面

あなたの夢に触る 月夜のぽっかりと開いた光の泡 風が撫でるように梳くすすきの正面 たなびく厚いすすきの髪は 夜に磨がれて 踊るように放心している 濡れた泡面は揺らぎながら眼をいっぱいに覆い シャボンのなかの気流にはなんだか 夜気に染まった夢の どろ…

べてる

カリフラワー 黴が真横に生えた 森 わたくしの耳にどんどんと周囲が吸い込まれていく のろしをあげた 道を剥がして持って帰る 昆虫缶詰め 足の爪を剥がした わたくしは まっさらな足で 身体の上をかけていく きみのやわらかな体を踏みすぎていく わたくしの…