闇のながめ







































いや別にいいよ
いいんだよ
だけどなんだろうこれは哀しいとかそういう言葉ではない
密林の緑のなかにはだれもいない
雨はさっと降ってやむ
ん?
言葉の化石だ
かたちにならない言葉が
透明なまま埋もれていく
耳をふさぐぐらいの叫び声が
その場を覆っても
やわらかく防音フェルトに吸われて
なにもないのと変わらない
僕のかたちは
どんどん離れていく
見えないぐらい

マリオネットの糸は見える
カタカタ
さむい
ああ寂しい手だ
その手をあたためることが
しずかな仕事でも
放してしまったならば

いや
いいじゃないか
楽しかったことが哀しいことだっただけだ
流れていくだけ
身体が疲れていくのは
哀しいことだけど
僕はそれについてなんら有効な手段(口)をもたないのだから
ただ身体がさむくなるだけ
染込んでいくだけ

じゃあ正確に露骨に聞けばいいじゃないか
そういうことするの?ってだけど
ぼくは疲労してるから聞けない

でもきっと言わないってことが
かなしい
なぜならそれはわからないくらいやわらかなものだからだ
ぼくにできるのは5円玉投げることぐらい
だって存在が凶なのに
どうすればいいのさ
ぼくは完全に無抵抗に無防備に手をさしのばすだけ

そう知らなければいいって言う
それは哀しいことだ
ぼくは知りたいよ
だって傷つくってかまわないもの
それがたぶんそのほうがほんとのかたちだし

でも聞かないってことは
ただそういう時場にいるってことなんだろう