洗氷



























僕は氷を洗いつづける
とても大きな氷塊だ
金ダライにざぶんと浮かんだ城
なめらかに光る肌を
濡らしながら
てのひらで磨く











氷は溶けるどころか
どんどんと大きくなっていくようだ

冷気は金ダライをうって
水氷のゆれる波となって
てのひらに浸透する

アイスピックが氷を欠片に粉砕するような
ぴりっとした痛みが走り
そのあとは
てのひらも霜柱になってしまった

もうもうとあがる湯気に
背をむけ
僕は氷を洗いつづける