懐かしきザルツカンマーグート、ハルシュタット























懐かしき、
ザルツカンマーグート、
ハルシュタット
ゴーザウ湖

ダッハシュタイン連峰

僕はヨーロッパ二ヶ月ぐらい旅行したとき
ユースホステルガイドブックに載っていた
世界遺産のハルシュタットの湖の写真を一目見たときから
そこに行きたいと思って
実際行ったんだけど

なぜそんなにその湖面に映る壮麗な山並み
鏡面という言葉がまさにぴったりの
ひりひりとするゴーザウ湖
黒くそびえたつ山脈に惹かれるのかわからないまま
その場所に立っていたんだけど
ちょっと僕にとってそれは不思議な惹かれ方だったんだ
基本的に見たい絵のある美術館を中心に行く場所を決めていたから

駅に着くと一軒の廃屋と湖しかなくて
すぐに渡し舟に乗って対岸のハルシュタットの町に行くという素敵な場所なんだ

それがなぜかっていうのがわかったんだ
長野県にある木崎湖の湖畔にアトリエがあるんだけど
その木崎湖の湖畔から見える山並みの
眺めがその時ガイドブックに載っていた写真の構図に似ているんだ
そして実際そのハルシュタット自体も似ているんだ

そうその小さな頃から眺めつづけた湖と山、湖畔の眺めは
僕のイメージの底に沈殿するひとつの原型、鋳型になっているんだと思う
器、というか

とにかく僕はハルシュタットの持っている色
記憶の透明なフィルターに映る色に触れて
旅に出たいと想うのだった

僕は旅人でいいと思うんだ
それかただまだ旅が足りないだけかもしれないけれど
旅は呼ぶ

でも独り旅じゃないほうがいいなあ

二人旅、手をつないだり
ながれくる朝日のような感動
広い空に響く、体中を満たすもの
ノートに書きとめても
まだ溢れ出してくるものを
幽霊の尾みたいにたれながしながら歩くのではなく
二人のあいだに流れる暖気流みたいに
言葉をとおして、
そして無言の間にも鳴る
循環する楽器のように
共有してみたいんです

ええ、旅に出ませんか?
世界中を巡る
少なくとも世界遺産は全部回りたいし
大陸も全部行きたい僕は










オーストリア、
ザルツカンマーグート、ハルシュタット

http://www.arukikata.co.jp/netmagazine/viewpoint/austria/hallstatt.html