メモ書き










 

とりあえず
すべて に 
まず人を一人殺して
二人殺して
三人殺して
言葉
 
 

まず僕を猛スピードで走り抜ける
夜の黒いスポーツカーではなく
普通の制限速度内で走る乗用車の前に投げ出してみる
そして骨とか皮とか血とか肉とか内臓とかがバラバラの部品になっていく
そのような片付け方で身辺を整理していく
潰れた意識とはなんと謙虚でそして
死を主張する
 
 

ぺしゃんこになって
蹂躙された肉体の
抜け殻になった透明な霊のような
活動設計
ただそこになにものかがあって
空中ブランコみたいに意識のテント内を
振り子運動している
そこに触れること
幽体という観念が実体化する瞬間
観念的精神の実物化
車輪のように軸と歯車があって
そして地面もあって
流れ込む
風洞のような
熱伝導のような
隙間
風気が走る瞬間の某所
紙は苦しい
ぴっちりと紙は紙によって埋められている
肉体の幽体化
空洞化
反響が中心から鳴り出して
耳を鍋蓋でおおっているような
空調的反響室にわんわん鳴っているような
 
 

眼という容れ物は
すべての色を透明な眼球という脳意識につつがなく包む
光の物質的後遺症
しかし視点は意思だ撫でる眼
受け皿
耳から吸いつづけた
周囲は
生とはすなわち死だということ
低地に
場所
監禁された戸袋
滲むように音(おん)
言葉は呼び名
音(おん)によってそう定められた
世界の偏りかたのようなものだ
そうならば音(おん)によって世界に触ることができるだろう
そのやわらかな脇の下のような
なだらかな世界の触れ場
それは歴史によって昇華された言霊
経験的言葉の修得ではなく
言葉の発生においてその言葉の音がその現象に似合っていたということの
意味の深さ
それは言葉の記号性という問題だけでは計り知れない
根源的な問題に接続される
言霊
同じ音の言葉が別の地方で違う意味として使われるという文化的背景の問題も
とても大きい
では色、かたちとは空間とは
平面という二次元的空間の中の三次元的イリュージョン
空間という
時空間
紙というのは
閉ざされた飛行場の滑走路
白に閉ざされた空間を
羽ばたかせることだ
色というのはすなわち
物質ということだ
素材
物質の転化の波長
ぎらめき方の変更
それは音(おん)の変化に近い
音色
色とはなにかしらという井戸
花の色
空の色
水の色
草木の緑
その空の茜やらなんやらの
被、日、(日っかりの)飛行距離の
ひっぱった吐膜の虹色
プリズムの虹色
心という吐膜のことを
とりあえず浮上させておこう
意識というセロファン
心というヨリシロ
水地
色は染まる心
現象的色素と
感情的色音
眼がひろうものと
心がひろうもの
染まっている
眼と言う空所によって私になった
見ているものと見ている私のなかにいるものは
限り無く存在を共有する
そのことは眼の、身体の透明度によって
それは私のなかに存在している
トコロならば
そのこととカク(描く、書く)ということは
眼が撫でる私と言う透明な世界
そして触れるということで対象化される他者
生物は見ていて音(オン)とかね
動作とかね
(言葉とか世界の解体作業はおもしろいなあ)
記憶とかね
物質の重なりによって生まれる
支持体と素材と道具と身体と空間と
何かを描くということ
描きたいという衝動の
発生する時

それはそこにあって
生という偏りのただなかにあって
美しいという
植物が植木鉢という
生活の日常的空間に取り入れられて
私は家にいて
ソ レ を受けとっている
心という布地が染めている感情の芳香(ホウカ)
存在の親しみのような強さ
(強さは悪く言われるけど強さが悪いわけではない、それ自体はニュートラルだ)
じゃあ深さとは
深度とは
その落ちていく距離のことだろうか
その場所との新鮮な世界との距離のことだろうか
平面における保有
湖面深度のことだろうか
空間における立ち昇る引力のことだろうか
ともかく
その布地に染まる今という母体があるのならば
どこへ
作るということ
作るとは世界の端末的変更作業であり
自己の時空間的居場所の建設でもある
そして作られたものはまったくの別物だ
現象のもつ躍動(エラン・ヴィタールってやつか)を
どう再構成(セザンヌさん的言葉)
しかしそれは私の心という洞穴(ドウケツ)に落ちたものだ
そしてああ
 
 

(それは対象としてのモチーフのほうから歩み寄るかたちだ
そしてもうひとつ素材、支持体の場としてそこになにが立ちあらわれるかという歩みより方もある)
 
 

その洞穴に落ちた光を
ヤ、それは今を照らし続ける
存在の中心から発せられている光
人工照明の力を借りて、
それが
紙(市販の紙)の中心からも発せられるだろうか
市販と言うのはけしてニュートラルではない
ニュートラル、無属性)
むしろすごく属性を持っている
ニュートラルの設定
自分にとってのニュートラルの設定ほど重要なことはないかもしれない
その対象が求める素材(無属性という始まり)こそ重要ではないか
だが偶然性の問題から衝動と希求のすり寄せによって発生する
そうかぼくのドローイングはどこに始まるのだろう
僕のスケッチはどこに始まるのだろう
 
 

まず光が浮上した
次に無属性のはじまり
 
 

伝統的手法、あたりまえさを甘んじるな
紙を探そう
そうだ紙
素材