次元震−涙を模した身体










 

星が揺りかごをゆらす
遠き星の弦(ツル)がまっすぐに延びて
引く手はゆるやかに落下する太陽の涙
感情は張りつめた弦の金属のきしみ
壁面を滑る雨のはじまり
崩れた壁の垂れ流す汗が雨になって
夜と街灯の交差
中には涙より深い死の種子が埋まり
高貴な弱さ
骨のない透明なやわらかさに変えて
こつりと垂れた首が鳴る
無智の側壁に磨かれた雨垂れ
吐く息のように体中が
落ちる髪
無性の寝床へと潰れていく
はえのびる草木
降り積もる落ち葉が
オイルのように弛たう
身体の更迭へと流れこむ
やわらかな新芽を噛む八重歯
痺れのように伝う花火型の血流
無骨の精神が柔らかく畳まれていく
わたくしは噛んだ葉を吸い
微塵も壊れることのない
身体性ガラスの粒をしゃらしゃらと鳴らす
幼児は身体へと回帰する
毛羽立つような丸い尻、足を被う
やわらかな衣服
トンネルほど透過した眼と
大気と同じ濃度に薄められた
身体に挟まれて僕は
吹きすさぶ谷間の風に煽られた抜け殻
回虫の紐になって空の中腹まで押し上げられる
意識の伐採
見取り図の消失
感情の畑には鳥が飛ぶ
正体不明の僻人の発光して消失する
運動だけが取り残されていく
今だ見ない中空ののぞき窓から眺め見た
真下の風景が
薮から棒に神経を頓挫させた
そして画が
指先からほどけた身体のスープが
流れこむ透明な彫刻の容器を埋めていく
それは染まるように朝を持ちあげた太陽の
肩に乗って飛び出した
帆柱の飛んでくる軌跡
幾筋もの未来を形づくる肥料のような

わたくしを突き刺す始まりの発光にほかならないのです




きみの涙は水だ
それは純粋に天候の成す
雨のように美しい