2005-04-05 耳に響くあなたの融けた残響 わたくしの耳にはあなたが 暮れていく赤のなか 歩いていくその足音 影 踏み抜いた小枝を 刺し貫いていく針と糸 その白い軌跡が 耳掻き棒の影になって なめらかな塵を吸い寄せていく 甘い闇に耳穴が融けて小宇宙になった 引力が塵芥を引きずる水平砂時計に わたくしの時間は止まったままのよう 黒く透けた風呂敷のような風の中 握ったきみの手を憶えている わたくしのネジ捲きの記憶 それによって進んでいくわたくしの躯は 闇と重なった深度を 海底の青に包まれたまま進んでいる