緑の雫の足下の天頂の薮の陽射しの細い糸柱の黒い森の鏡のなかで




















ピィーッ
きみという平地に
カンシャク玉を投げつける
なぜなら
雨は全部きみがすきだから
春ノ薄皮ハ
まだすらりと剥けない
昼の包みだから
酔っぱらって石畳の路地で
昼の月を見てうたう
手のひらの小石に

きみの夕影が結ぶシーソーに
ひとりブランコが鳴る

雨宿り
きみの家には雨が降る
きみの顔にも小雨が降って
濡れ髪にはぽつりと
今がこぼれている
談笑の杉木立が
走り抜ける波紋の雨樋に
手拍子を送る
温かいきみの寝息
きみの呼吸の
反芻
静寂の拍手に
水宙波紋がサーカスした時
手を引くきみは帰り道だった

山芋ににぎわう
鉱山道の入口できみを見た
きみは鴉のかっこでうたってた
「醤油には点滴がよく似合う」
「缶ジュースには破水した夢の発火点がある!」
ハッカ味のビールに苦いって顔のきみの表情に惚れた!
きみのくしゃっとした顔に惚れた!
きみの干された物干竿と昼の月を見てぼくは
タンバリンを叩く
ああそういえば牛乳パックが漬けられたまま
肥大する寒さに震えている
ぼくもそろそろ引きずられるイッタンモメンの薄紙飛行をまねて
出棺するときかしらねぇ
小川で待ってるよ
緑の雫の足下の天頂の薮の陽射しの細い糸柱の黒い森の鏡のなかで