今日 、 白部屋位相










 
行き止まったら 歩きます 
凍った踵は辛いですが 歩きます
そしたら何かが流れ出て 何かが入ってきます

行き詰まったら むちゃくちゃします
そしたら なんかわかります

文章は 吐き出すことです
思考もひとつの回転です




2003年12月賞味期限切れのキャベツが茶色くなったカップ焼そばを気づかずに半分食べてお腹がちょっと痛い


















照りかえす中間色

箱に降る雪

白い部屋をうめる羽毛のような端雪が

ひどい凍傷にかかった鏡をくっきりとふちどる

雪は野草のようにさわいでいるので

鏡はゆっくりと写した像をずらし始める

天井が空だったことも

ひとりほどかれた糸をもって佇む

白い壁の精(少年 ?それとも少女?)が

包み紙に守られるようにして浮かんでいることも

窓硝子が高風に打たれて微かに震える様も

ようやっと映し出すので

ほどけた糸が

突然

はらりと落ちて

鏡面をにぎるものだから

びくっとした鏡も一瞬ひらいた手

白くほころびた指の微かに散っていくのを見て

またゆっくりと写した像をズラしていくのです

積雪は風にのって払われ

春の日差しが壁と壁、壁と床の間から滲み出すように溢れてくるので

その色のある温度はふんわりとした夏へ

気色を変えていく

融け出した鏡も冬の化粧を落として

汗のようにぷかぷかと雫を浮かべるので

その一つ一つの眼に浮かんだ

空の滑走を眺める羨望のような視線

屑入れいっぱいの魚の目のような

表面張力の無色が

球形鏡の目ざとさで

部屋一面の産毛

騒立つ呼吸の跡を見つけ出した

部屋は確かに殺されている

息を殺されている

途中で雨が止んだから

もう乾いてしまって

台風一過の空みたいにキラキラしているけど

喉には詰まった声が平らな重石にのせられて

閉じられている

夜半

部屋は空色に発色しだし

鏡も融けてそこには

一滴の大きなレンズが立つ

そして空中時計は鳴り出す

空に接面した皮膚の透差

風にふやけた皮膚感覚がぴったりと張りついた

壁面に

寝床を求めるように埋まっていく

真剣の矛先があった

それが沈むころ

夜は鉄板の弾く空

明けの破水をかぶって

茜色へと滑っていく

部屋も直ちに明かりを消す

白が沈んで

海底が呼び出された

深度夜の海底の剥がれた青に

部屋は再びかえっていく