菊の内臓























菊の花
人の花

白子のような
菊の内臓

ほのかな
ほほえみのような光で
わらう

木の葉の粒を透かして
とどく
ひかりの緑

石粒の道の真ん中に
腰をおろして
人波を
わける川石のような
流れの膜

アスファルトと
コンクリートに
塞がれた町
皮膚呼吸のできない
大地がながれの死を漂わせる町

息苦しさに埋め尽くされ
人が吐く二酸化炭素と
下水からながれくる腐臭に包まれ

人と車だけがのさばる町で
早足で歩く
ひとりで

つなぐ流れがないからだ
ただ風だけが
残りすくない
ながれを運ぶ

つながるひとと
ゆっくりとあるくと
ながれる時間の歩幅もかわる
ゆっくりと刻まれる時間と記憶

真空に流れ込む
運動自体が
ながれを生む
空白な器は
あまりにも軽く
儚い

からっぽな器はでかい
けれども
気づかれない痛みに
触れて
それをつなぎ止めたいと思う