冬闇
冬ですね 夜の訪れが早いですよ さむいし 温かい焚き火の 照る火の赤が肌をさすほど そういえば 緑の春みたいなやさしいものが 僕のなかに流れ込んでくるなんて ほんとひさしぶりだったんです ずっと足りなかったもので ずっともとめていたものなんだ だからそれはぼくの胸をつるんと埋めて 熱い言葉の震えをさえぎってしまった まいってしまった そしてそれは循環しているようにつながった まっさらな弱さ まっさらさ 雪 闇に沈む熱の震え 蛇 闇の裏側にはりついた輝く宝石のような 吐息 熱 ぼくは好きですよ ただつまってしまっただけですよ そろそろ穴籠りの季節かしら 穴を掘れ 本を収め 壁をつくる あたたかく厚い夢のかよった壁を 手でなすりながらなでて 「ほしのにおいを嗅いでいる」 みひらかれた瞳は言う 乾し草のなかで