どうしようもなくなったらトンカチを食べろ
ほおり投げあげられた桃の実の 落ちくだけた甘い 産毛の薄皮がめくれた 果肉の香る芳潤な やわかな肢体 柔らかなしとね香る ひずみ どうしようもない夢のむこうに ほんわりと浮かぶ ほのうのゆらめき に映る やわらかな像を 舐める 青いような緑のようなものが蔭のように僕の中に入ってきて 肌の翳りや脳のくすみになって 隠れているから そおっとそらを泳ぐように 温かな濃度の膜に運ばれていくと なんだかうれしいような 流れにのっているような ふうにして歩いていってしまう もう疲れはてたとかいう人々の内臓 魂と結ぶ肉の皮膚に刻まれた脳神経 こおばしい ああ 秋の日の 戯れる歯茎と口蓋と ねえあまりにもさみしいすれかたに 枯がらしが寒い音で鳴る