木皮裏の文字

木の皮みたいにしてきみがすき
だけど夜がぬるりと泳いで
僕は星流のブラックホールをゆく
きみへきみへと
磨がれた時壁の堆層に
埋められた祈り
清らかな清流が辿った朝
きみはどこかの星を背に
星明かりの落としたほんのうっすらとした影に
たんっ と鳴るように響く
ハンモックを垂らし
静かな紐を引くように
夜空のカーテンをとじた
 
 

きみの星を掲げた眠り
星月の涎でいっぱいに輝くきみの夢に
わたくしの樹木を切り出して造られた
青い小屋が建って
きみの夜に鳴るすべての音楽を
木皮に染め
木目の打つ波紋が
声をとりかえす
きみの瞼には空が縫いつけられていて
ぼくを見つめる瞳は空をしまってから
地平を裏から眺めるようにして
優しい夕映えのような微笑みを投げかける
ぼくはその柔らかな薄布のような微笑みを
両手で受けとった反物をしまうように
引き出しの擦れる乾いた音とともに
抱きしめている
ずっと
ずっと