凍え
























かなしみは雨というだけではないようだ
さむい
緑というのはなんだろう
さむい
震えは
深い井戸のくらやみ
その暗くひえた水の
うつす
青そら
瞳にうつす青そら

緑と息をする
色で息をする

ばらばらにくだけちった
カケラを
ひとつひとつ繋げて

紙マッチをひとつすって
手のひらでほのうを守るような
小ささで
広げていく

燃えきえる紙マッチを
下水の穴に落としながらあるく

いくつもの小さな灯りの記憶が
道すがら灯っていく

ポケットにはいった雫形のどんぐりの
割れてしまったものをえらびだして
殻をふたつに割り
なかの実もふたつに割る
その栄養豊富な密度あるかたさに
そのまま口にほおりこみたい気分といっしょに
地面におとす

ぼくの通った跡には
雫の割れたカケラが落ちている
特に終電の終わった暗闇をあてどなく迷っているときは

ぼくは夜に住んでいる