ザクロをぬすみにいく
濡れた鉄砂色の砂浜に立って にじられた足跡の薄い段差を 洗いつづける波 あぶくを浮かべて 和織図版のはっぴみたいなたまり水 はじめて音楽スタジオで音楽する なかなかたのしい むちゃくちゃ演奏してから ともだちがベース弾いて ぼくがうたう メロディがつよく生まれ出ないから ベース音に引かれて そこに身を寄せていく 音楽が重なる 別の扉が開かれる ほんとはちがうことしたいんだけど まだできないから 違う扉をひらく でもその場所も 開かれるべき場所のような気がする もしかしたら したいことはまだ幻影で そうゆう場所から開かれていくのかもしれないとも思う いっしょに音楽をするというのはこういう感じなんだね 夜 自転車にのって 高枝切りばさみを持って ちょうどいい長さに伸ばして ザクロをぬすみにいく 一個だけ必要なんです わるいことは本当に必要なときだけする それはそれほどわるいことではない 必要なときは