溢れかえるすべて












星がばらまかれてる

透き通った体に

おさまりきらない夜そらは

どんどんと手をのばして

つきはなしていく



地中とつながって

湿った土

夜の土のやわらかく冷えた中に

しずんでいる

雨の意識に

ひかれていく影

つながったままなめらかに落ちていく




こぼれおちる震えの放つ灯りが

奇妙に澄んだイカの骨のように

地中に埋まっていく




なんとかして箱ですくって

切り離したいと思っても

土にのまれた箱は

斜めにヨレて

濡れたケーキ箱みたいに

湿やかに破れていく



白が灰色水に食いやぶられる




ぼとぼととこぼれ落ちる

ほのおの雨

ハイリキラナイ





箱の中に区切ろうとしても

からだはどこまでも広がって

そらから降る光の雨をうけとる

体中を透かしてみれば

そこには夜に降る

光の泡雪が落ちていく景色が浮かぶ




いつまでも抱いてやろうとする

体中に降り積もる雪のかたちのともしびを

ああそいつら全部集めて

流してやらないと

泪がでちゃう

かなしいわけではないのに

手のひらでつかみきれないからかな

溢れかえるすべて