やわらかな胸 張りのあるゼリーみたいに

 
 
 
 
 
 
 




ぽちょんと浮かんだ舟

ハッポスチロールの舟

小川の濁流にのまれて

くるくる回りながら

道だった上をはしる

淡い泥のようなひかりの

うすピンクの混じった灰色けむりが

こまかな皺をつくって

肛門のようなかたちで

ゆっくりと動いている

震える糸波

風の囁きのように

鼓膜でないところをゆらす

細いほそいほそい

塞がった?

繋がった?

埋まったら

すきまがない

こころを泳がす空白がない

こころを遊ばす空き地がない

でも埋まったのは僕のなかだけ

わかってると言う言葉は

張りつめて震える色で

ああこころの中にあたたかい肉がつくった繋がりを

柔らかくすっぱりと切り裂いて

息が吸いたい

つめたい空の空気を

透明な血を吹き出しながら

悶えるこころの緒を持って

それでも広大な世界にぽつんといるほうが

だってそのつながりは繋がらないことが保証されている

でも繋がった

だからつながりあっても

つながっていないという実績と

つながっているという希望があって

そうか繋がっちゃったんだ

やっぱり

ほおっておきたかったのに

この柔らかい胸につまったものを

片付けるには

言う しかない

吐き出す しかない

残らずぜんぶ

だって行かなくちゃならないところがあるから










口にすると消えてしまう気がすること

あーあそうやるべきことをすーる

だってすげなく言われちゃうよ

そう声でならいい

でも文はヤダ

痛い固い冷たい

はなれていくならそれでいいじゃないかという態度

問題は 道 みち みち

そおおう すうぐうに つうまってるうんじゃねえうぞ

ばたばたと 羽ばたけ 羽根がなくても羽ばたけ

てづくりの羽根で鳥のかっこして羽ばたけ

「ポォふァあ」





腹がへった