雨季      





















こんこんと湧きつづける

血のかよった流れの

その線の振れ跡に鳴る

地下水脈の夢の音に







通り雨

涙がくすぐりあっている

脳をわかす

かたちの証拠

「 あ い 」って言ってみる









もしほんとに確かな足どりで歩くというのなら

そうすればいい

ことがらの実がいくつもなる木に身を寄せながら

すすめばいい

青白い浜を

月を求めて









「 生 命 」って言ってみる

どこかに触れるということが

すなわち

すべてのつながる世界に触れるということならば

一部はすべてである

ひとつは世界である

それならば実る果実のような命の灯火とはなんだろうか

虚無の浜辺で波打たれる

独立した魂のシステム

電車で向かいに座る人の顔

顔が放っている人生のにおい

それらも世界の産み落とした果実なのだろうか

僕も君も

生命にふれる

生命と重なる生命

描くってことだけど

あくまで眺めつながるってことか

ふれあいの被膜に流れるあたたかな音楽










それは絶対なんですって言えるものがある

言える時がある 涙だってなんだって それは届くんだって言える時がある

それは絶対僕にとって必要なことなんだ

それをかたちにして

ひとに伝えるってこと

それはかたちなんて呼べないもの

僕は受けとっているんだ

それを返さなくちゃいけない

世界を変えるにはどうしたらいい?なんてわからないし

そんな戦略とかぜんぜんわからないよ

だからそう 感じるもの 残っているものをつむいで

つなげて

かたちを編みつづけるしかない

僕のやりかたで できうるかぎり

つくったかたちを

記憶を足場にして進んでいくしかない